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簿記3級は独学も可能だが、言うほど簡単じゃないと思う件

簿記3級に独学で合格しました

日商簿記検定3級に独学で合格しました。

私は経理のような仕事をしたことはなく、会計ソフトも触ったことがなく、高校も普通科、文系大学出身なので、簿記の勉強はまさに未知の世界でした。

簿記3級は、経理や会計の基礎知識を学ぶための入門資格といわれるだけあり、多くの人が勉強すれば取得可能な資格、独学でも取れる資格であることには異論ありません。

しかし、「簿記3級は独学でも余裕、2週間~1か月ぐらいあれば受かる」といった話には異議ありです。

確かに世の中には飲み込みが早い人もいるのでしょうが、勉強してみて「言うほど簡単な資格ではない」というのが正直な気持ちです。

簿記3級は実は再挑戦!数年前に勉強不足で不合格

簿記3級の勉強をはじめてみて「いや、意外に難しくないか?」「テキストに書いてあることがよくわからないんだけど」と思っている方、そんなに落ち込まないでください。

実は私、3年以上前に簿記3級を受けていて、不合格でした。はっきりいって、私こそがネットなどでの「簿記3級は簡単」という声を真に受けて、最初の挑戦で簿記の勉強をなめてかかったんですね。

ですが、初学者は3級から挑戦する方が多いと思いますが、まったくの初学者がテキストに書いてあることを最初から理解できるほうが稀だと今では理解しています。独学での簿記の勉強は、躓きがあって当然なのです。

「1か月で合格できる」と言っても、勉強に使える時間は1日1時間なのか、3時間なのか、5時間なのか、人によって差があります。必要な勉強時間は100~150時間必要っていっても、理解の早い人、遅い人がいるのは、当然のことですよね。前回はなぜまったくの未経験であんな無謀なスケジュールを組んだのかと反省してます。

私は今回1か月程度の勉強期間でしたが、一度資格試験に向けて勉強したというアドバンテージがあります。また、諸事情により一般的な社会人の方に比べて勉強に費やせる時間がかなり多かったので、期間1か月の独学でも可能だったわけです。もしフルタイムで働きながらの取得しようと思ったら、2~3か月はかかっていたでしょう。

簿記は繰り返しの問題演習こそが肝心

リベンジを決意した簿記3級試験。2019年度に出題範囲が改定されたので、テキストなどは一式買いなおしになり、「クレジット売掛金」「電子記録債権」「消費税」などの見慣れない論点に戸惑うこともしばしば。

ですが、簿記とはなにか、借方・貸方とはなにか、貸借対照表損益計算書などの超基本事項は一応覚えていましたし、さらに3級では第3問の試算表作成、第5問の決算整理が大きなウエイトを占める点は変更がありませんでした。

前回のまったくの知識ゼロ状態よりは良いスタートが切れました。そして、今回はテキストの通読はそこそこに、早々に問題演習に取り組みました。また、戦略的に、勉強当初から第3問と第5問に注力したのも正解でした。

よく言われていることですし、1回失敗したからわかるのですが、簿記は「問題演習の量」が重要というのは本当です。なにはともあれ、わからない部分があっても、とりあえず問題集を解きましょう。解いて解いて、解きまくります。

前回は「テキストは一応一通り理解したつもりだけど…」という状態でしたが、過去問に取り組むと撃沈したり、制限時間2時間内に解けないことがよくありました。

私は日ごろから手が早いほうではないので、「試験時間2時間以内に正確に処理する」という点に今回の勉強では意識して取り組みました。過去問演習時には毎回ストップウォッチで時間を測ったのも良かった点かなと思います。

YouTubeは独学での簿記勉強の強い味方

初挑戦のときと、今回の簿記の独学で大きく異なった点が1つあります。それは、簿記に関するYouTube動画の充実度です。

2017年頃には、テキストや問題集を買うと視聴できる講義動画みたいな類はあったと思いますが、真面目な簿記の解説動画はさほどなかったように記憶しています。

それが今では、講義動画、具体的な過去問や予想問題の解き方手順解説、合格のコツなどの体験談など盛りだくさん。テキストを読んで理解できなかった点も、動画ならするっと頭に入ったりします。通勤電車の中での勉強方法としても非常に有効。独学なら、こうした動画を利用しない点はありません。

真面目な講義動画の場合、1番から順番に学習していけるタイプもありますが、私は時短のため基本テキストを読んで、理解しにくい単元のものをピンポイントで視聴する方法をとりました。問題演習という実践訓練と、動画視聴というインプット兼理解を深めるための勉強を組み合わせるイメージです。

繰り返しになりますが、私は以前に簿記の勉強したことがあります。ゆえに、テキストを読むだけで理解できる(思い出せる)単元も多かったのでこの方法をとりました。

初めて独学で勉強する場合は、「最初は動画でインプット」と決めてしまっても良いかと思います。

1つ注意事項として、個人の体験談はあまり視聴しても時間泥棒なのであくまで息抜き程度にとどめましょう。基本は、講義動画を視聴したり、具体的な解き方手順の動画から下書き用紙のうまい使い方などを学ぶのがオススメです。

簿記の勉強はハイ状態になると楽しい

今回、簿記3級に再挑戦して1番よかったなと思ったのは、簿記の勉強が楽しいと思えたことです。

最初は疑問だらけで「なぜこうなるんだ?」とモヤモヤしながらも問題を解いているうちに、貸借対照表損益計算書の見方が少しずつ理解できるようになります。知識が繋がっていき、過去に説いた問題が「ああ、これは類題なのか」と気がつくようになります。

実際はもっと複雑なのでしょうが、

うちの(会社の)経理は決算期にこんなことをやってたのか!

前払いや未払い、減価償却の考え方は、家計管理にも役立ちそうだな。

など自分の生活とリンクさせて想像をめぐらすのも楽しいものです。

今回は、試験前にまとまった時間がとれたのも幸運でした。1週間前からは1回2時間の過去問演習を1日3セットみたいなスケジュールで勉強していましたが、さほど辛く感じなかったのはランナーズハイになっていたからでしょう。

簿記独学の落とし穴!本当に理解できているのか自信がもちづらい

ただ、独学には問題点もあります。独学では、自分の理解が本当に正しいのか、なかなか自信がもてないのです。簿記に限らずこれは独学全般に言える弱点なのかもしれません。

確かに問題は解けるようになった。しかし、私は本当に内容を理解できているのだろうか。

まったく違う出題形式で出されたときに、問題を解けるのだろうか。

私は一度簿記の勉強で挫折していることもあり、過去問でほぼ満点近くをとれるようになってもこうした不安はありました。なんなら試験当日もありましたし、合格がほぼ確定的な今もあります。

おそらく3級なら暗記や問題への慣れでも対応できるのでしょうが、近年著しく難化したといわれる簿記2級ではこの3級の内容を本当に理解できているかも重要なのでしょう。

独学は独学の面白さがあるのですが、カリキュラムをこなすわけでもなく、師とする人物がいない勉強というのは、「どこかに落とし穴があるのでは?」となかなか不安がぬぐえないものです。

簿記3級の独学にかかった費用は6000円程度

簿記3級の勉強のために購入したのは、

  1. テキスト
  2. 問題集
  3. 過去問題集
  4. 予想問題集

の4冊で、合計6千円ぐらいです。その他、3級の検定料3400円(手数料込み)が加わって、資格取得に費やした純粋な費用は合計1万円以下です。

繰り返しになりますが、メジャーな資格だけあって無料で見られるYoutube動画にも有益なコンテンツが多数あります。費用面の観点から見ても、本当にありがたいですね。

なお「予想問題よりも過去問が大事」「予想問題は必要ない」という意見も多いですが、私の場合、出題範囲改定から本試験まであまり年月が経っていなかったため、本番練習の演習量を補う意味で予想問題集も購入しました。予想問題が本試験にでるかどうか、的中率はほとんど気にしていません。

要注意なのが、予想問題集は過去問題より問題の難易度が難しめに設定されているのが一般的な点です(どの程度難しいのかは問題集によります)。私は『あてるTAC直前予想 』に取り組みました。慣れてくるとすごく難度が高いとも言えないのですが、捻りがあるというか、めんどくさい問題が多いというか。過去問では9割以上とれているのに、予想問題では9割に届かないみたいなことが起こりました。

そのため、過去問をすっ飛ばして予想問題をやるのはおすすめしません。

「簿記3級は簡単」「2週間で合格」などの成功体験談に惑わされない

「簿記3級は簡単」「勉強時間は2週間程度で集中すればOK」など、多くの合格者の体験談がネット上には公開されています。

資格試験の場合、満点を取る必要はないわけで、目的から逆算して戦略的にゴールに向かうのは当然ありでしょう。簿記3級の場合は7割とればいいわけで、私も第1問(20点満点)、第3問(30点満点)、第5問(30点満点)に注力し、出題範囲が広いけれど配点の小さい第2問と第4問の対策はそこそこにしかしていません。配点が大きい問題や出題頻度が高い問題を優先的にこなすのは戦略のうちです。

しかし、最短距離に思える方法は実は高リスクだったりもします。「これだけの少ない勉強時間で合格できた!」という成功体験談は、あくまで少数派ケースなわけです。

一般的な学習時間よりも明らかに少ない時間で合格できる人というのは、飲み込みが早い人かヤマが当たった人、または既に独学のコツを何らかの形で身に着けている人なのではないでしょうか。

大多数の人は「テキスト→問題集→過去問」と進み、問題を繰り返し解き、ある程度の時間をかけて王道的な方法で合格しているはずです。

簿記3級は簡単な資格ではない!不合格でも恥じる必要なし

簿記3級は、向き不向きがでやすい試験だと思います。学校の勉強は苦にしたことはないけれど、簿記の勉強は大変だと思う人もいますし、その逆もあります。独学だと効率的な勉強方法がなかなかつかめず、試験へのモチベーションが著しく低下することも十分あり得ます。

振り返ってみれば、1回目の挑戦時には私は独学のやり方が悪かったです。計画も甘く、勉強不足のまま試験に挑まざるを得ないという散々な結果でした。

だから、簿記3級を簡単だと思って挑まないこと。

そして、もし不合格でも恥ずかしいこと思わないこと。

簿記3級は、言うほど簡単な試験ではありません。1度不合格を経験してから、数年のときを経て再挑戦。独学の方法を改めて「自分はできない」という前提に立って勉強しなおした結果、合格した私はそう思うのです。