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「小商い」に向いている人の特徴~伊藤洋志『小商いのはじめかた 身の丈にあった小さな商いを自分ではじめるための本』感想

 伊藤洋志さん監修『小商いのはじめかた 身の丈にあった小さな商いを自分ではじめるための本』を読みおえた。

伊藤さんの『ナリワイを作る 人生を盗まれない働き方』も読みましたが、『ナリワイを作る』が伊藤さんの自己紹介で「ナリワイ」をもって生きることの楽しさ、自由さを伝える「新しい働き方の提示」がテーマだとしたら、『小商いのはじめかた』は働き方の実践集・具体例の集まりという位置づけでしょうか。

 

 

 

  

企業が行う大きな商業活動とは違い、自分の目の届く範囲で小さな商いを行う。1つで生計が立てられないなら小商いを複数持てばいい。収入よりも、生活の質を大切にする。あくまで自分が必要だと思った程度の小さな範囲で商いをするから、競争も起こり得ない。

藤村靖之氏の『月3万円ビジネス』でも、月3万円のスモールビジネスが10個あればそれで生計が立つということを述べています。伊藤さんの著書が面白いと思っている人は、この本もおすすめです。

 

 

月3万円ビジネス

月3万円ビジネス

 

 

 私は割とサラリーマンが楽だと思っているタチなので、ナリワイだけで生きていきたいとは思いません。

しかし、「会社」に依存することは望んでいないし、恐ろしくてそんなことはできません。主体的に生きるための方法として「小商い」には関心があります。また、副業を持ちたいと考えるのは、できるだけ多様な価値観に触れていたいという思いが根底にあるからでしょう。

1日8時間仕事のためだけに頭を使っていると、なんというか、いつも同じ場所ばかり働かせて、どんどん頭の使い方が偏っていく気がします。慣れてくると、仕事というより、これはもう作業に過ぎないよな…ということも多くなります。

頭の中をオープンに、思考を拡散するための余白づくりとしても、副業(複業)として「小商い」には大きな効果が期待できそうです。

 

しかし!私は『小商いのはじめかた』を読んで思った。思ったのです。『ナリワイを作る』のときから思っていたのだが、再確認しました。この世には、「ナリワイ」「小商い」をするのに向いている人と向いていない人がいる。向いている人間の特徴を勝手にまとめてみます。

 

「ナリワイ」「小商い」に向いている人の特徴

 1.手先が器用

 ものを作る系の小商いでなくても、小商いは低コストが基本。「Do It Yourself=なんでも自分でやる」の姿勢が大切なのだ。手先が器用という特徴はそれだけで大きなアドバンテージだ。

初っ端から自分に大ダメージ。

 

2.センスが良い

センスが良くなくても成り立つ小商いもあるので、必要条件ではない。でもやっぱり、おしゃれさ、かわいさ、おいしさを上手にアピールできると選択肢が広がる気がする。付加価値つけようと思ったら、このへんやっぱり大事じゃない?

なにが言いたいかというと、本書『小商いのはじめかた』の写真、おしゃれすぎるよ!ハードルあげてるよ!

 

3.ネットを活用する力

自分で情報を発信する力が大切ですね。本当に下町みたいなところで、目の前の人を相手にする小商いもありだとは思いますが、ニッチなところを狙って商品・サービスの価値や製作者の思想に共感してくれる人を探すならネットを使わない手はないでしょう。

本書の中でもSNSを使って、メディアに取り上げられて波に乗った例がいくつもでてきます。

自分でHPを作れて、イラストレーターやフォトショップなどのウェブデザインができれば尚良し。店のロゴ作ったり、おしゃれで、かわいいセルフブランディングができちゃうよ!自分でダメなら、得意な友人に依頼するのもありなので、その場合、人脈がものを言いますな。

でもこの辺は言ってもきりないから、最低限ブログやフェイスブックツイッターができればとりあえず情報発信はOKとしよう。商品販売にしても、minneやメルカリ、BASEとかあるからね。販路を既存のサイトに依存するのは「小商い」と呼べるかはわかりませんが。

よし、ここはなんとか及第点だ。

 

4.コミュニケーション能力がある

「小商い」ですからね。例えば企画、開発、販売、広報、すべて自分でやるから、その過程で誰ともコミュニケーションとらないってまぁ無理だよね。あと何か新しいことをはじめようとしたら、人に教えてもらう必要もあるでしょう。

人とつながる、人を巻き込む、そういうのを楽しいと思えないとふつうにパソコンに向かって仕事してる方が楽です。正直、伊藤さんの『ナリワイを作る』を読んだときは、面白そうな生き方だが、この人だからできるような…と感じました。だって、コミュ力高いんだもん。

私、今の会社では隣のデスクの人ともスカイプでやりとりしてるし、それがすごい楽なの。それなのに休みの日は、誰とも話したくないの。愛想はいい方だと思うけど、無意識に気をつかうから疲れるのです。

私、小商い向いてないな…。

  

5.想像力(創造力)がある

あえて書くまでもないので書かないつもりだったのですが、特徴4つだと寂しいかなと思ってあえて書く。

現代において「ナリワイ」「小商い」を選ぶ人というのは、消費よりも、創造が楽しいと感じる人。贅沢に興味はないが、生活の質を重んじる人でしょう。そういった趣味趣向があるからこそ「小商い」に結び付き、楽しめる。

「消費」が好きな人にはあまり向いてないと思います。

 

非常に遺憾ながら「ナリワイ」「小商い」を作るのにどうやら私は向いていない方の人間のようです。

3だけ及第点。1.2.4は落第。5はそうありたいと思っているという感じです。いや、本当は1のDIYが得意になりたい、DIYの思想にはすごく憧れているのですがね…。

 

ただ小商いの良いところは、例えこんな向いていない私でも、できる小商いがあるかもしれないということです。自分の苦手なことに無理に取り組むと苦痛になるので、苦手を避けたうえで仕事を作る、自分に向いている仕事を自分で作るからこそ小商いではないでしょうか。

そして、小商いは失敗してもやり直しがききます。そもそもトライ&エラーを繰り返すのは前提であり、少しずつ発展すればOKという適度な緩さがあります。

 

※ただ本書では、トライ&エラーのエラー部分、要するに失敗に関する言及が少なかったのがちょっと物足りなかったです。

また、初期投資に100万以上かかる例もでてきましたが、私の金銭感覚としてそれはもう小商いではないですね(一般的な商売を始めるリスクを考えたら低リスクなのかもしれないですが)。

あと小さく初めても、社員を複数人雇えるレベルまで発展した場合も、「小商い」というレベルを超えたと思いました。他人の人生に著しい影響を与えるのは「小商い」に似つかわしくない気がします。

なにをもって「小商い」とするかはやはり個々人の価値観によると思うので、あくまで個人的な感想です。

  

優秀じゃなくてもいい。どこに行っても、とりあえず生きていけるだけの生命力がほしい。実際に小商いをするしないに関わらず、「小商い?やってみようか!」と軽く言える自分になりたい。